『オーク英雄物語〜忖度列伝〜』がおもしろいから紹介させて欲しい
こんにちは!
山田ぽんたです!!
忙しくてなかなか本が読めないときってありませんか?
だからといって寝るときに本を読むと、そのまま寝落ちしちゃったときにどこまで読んだかわかんなくなったりするし、何より電気を点けっぱなしで寝ちゃうと翌朝妻がおかんむりです。
愛妻家かつ恐妻家なぼくにとってそれは何より避けたいところでして、かと言って活字はそれなりに読みたいという欲求もあるわけで…そんなときにぼくは布団に入ってスマホで『小説家になろう』の作品を読んじゃうことが多いです。
玉石混交、玉は稀で石が多数を占める『なろう系小説』ですが、気に入った作者を絞ってみると玉が多数を占めることになるんですよね。
お気に入りの作家さんは何人かいますし、継続的に読んでいる作品もいくつかあるんですが、その中でも『無職転生〜異世界行ったら本気だす〜』を書いた、『理不尽な孫の手』氏は大のお気に入りです。
『無職〜』のおもしろさはもはや言を俟たないわけですが、それが終わってしまったいま、氏が現在執筆している作品が『オーク英雄物語〜忖度列伝〜』なんです。
主人公がオークの英雄というなかなか変わった設定の本作ですが、これがまたおもしろすぎるんですよ!!
そんなわけで今回は『オーク英雄物語〜忖度列伝〜』をご紹介いたします。
基本的に内容はなろう版に準拠しておりますのでご注意を。
オーク英雄物語のあらすじ
ここで『オーク英雄物語〜忖度列伝〜(以下オーク英雄物語)』のあらすじを引用いたします。
オークの戦士バッシュは英雄である。
戦争でありとあらゆる敵を打ち砕き、オークの中のオークとして、全てのオークに尊敬されている。
だが、そんな彼には隠し事があった。
それは女性経験が皆無であること……すなわち童貞ということである。
戦闘と性交の回数を重んじるオークにとって、童貞はとてつもない恥である。
オークの英雄として崇められる自分が童貞であるということは、すなわちオーク全体の恥である。ていうか自分も嫁が欲しい。
そう考えた彼は、旅に出ることを決意する。
種族の誇りと名誉を守るため、そして童貞を捨てるために……。
なんじゃこりゃ?っていうあらすじですよね笑
オークの英雄っていうだけでも変わっているのに、それが戦うお話ではなく『嫁探し』をするわけですから。
しかも、主人公バッシュが童貞という。
オークといえば女騎士を攫って「くっころ」を言わせるものと相場が決まっているのに、それが童貞といういきなり読者の度肝を抜いてくる設定なんですよ。
作品中でもオークは基本的に強い性欲を持ちながらも、『基本的に雄しか生まれず、多種族の肚を借りなければ繁殖できない』ことから、繁殖目的で他種族を犯す存在として忌み嫌われている設定になっています。
ある意味べたべたなオークの設定でありながらそのオークの英雄が童貞って…。
バッシュはなぜ英雄なのか?
ところで主人公バッシュはなぜオークの英雄なのでしょうか?
本作品が始まる5000年以上前から、作品の舞台となるヴァストニア大陸で12の種族を巻き込んだ大戦争が続いていました。
その戦争が終わって3年後から話がスタートするのですが、その戦争において無類の強さを誇り、局地的に勝利し続けたのが主人公バッシュなのです。
戦場における指揮が上手いとかそういうことではなく、バッシュ自身が圧倒的に強いのです。
彼は戦場に誰よりも早く駆けつけ、誰よりも長く前線に残り、誰よりも多くの敵を倒した。
数多のオークが彼に救われ、数多の戦場が彼の手によって勝利へと導かれた。
どんな強大な敵であろうと真正面から立ち向かい、そして打ち倒す姿は、まさにオークの理想を体現した姿であると言えた。
その功績を讃えられ彼には『ヒーロー』の称号が与えられた。
(中略)
戦場は常に劣勢だったが、バッシュのいる所だけは違った。
彼のいる戦場では、ヒューマンやエルフ、ドワーフの血の雨が降り、臓物が撒き散らされた。
そこにどんな相手がいても、バッシュは戦い、勝った。
猛者と呼ばれる者、剣豪と呼ばれる者、修羅と呼ばれる者、あらゆる者を打ち倒し、戦場に勝利をもたらした。
バッシュは一つの勝利をもぎ取ると、すぐに次の戦場へと向かった。
その強さは作中でもこのように語られています。
つまり作中最強と言ってもいい存在なわけです。
オークの英雄ってどういうものなのか?
ぶっちゃけよくわかりませんよね。
オークの英雄とはどういうものなのでしょう?
英雄の称号を得たバッシュは、あらゆるものを手にいれた。
大きな家。
立派な武具。
食いきれぬほどの食料。
使い切れぬほどの特権。
そして、全オークからの尊敬と信頼。
オークの若者が欲しいと思うものの、ほぼ全てだ。
そう、オークの国においてすべてが手に入るのがオークの英雄なんです。
でもただ1つだけ、失いたいものを持ち続けているわけです笑
そこに拘るがゆえにオークの国を出て嫁探しをする旅に出るというところから物語がスタートします。
なぜバッシュは英雄なのに嫁探しの旅に出るのか?
ここが『オーク英雄物語』の肝になってくるわけですが、わざわざ国を出てまで嫁探しをするのはなぜなんでしょうか?
実はオークの国は上で書いた大戦争に負けています。
その結果、繁殖目的で他種族を犯していたオーク達は苦境に立たされます。
戦勝国が敗戦国にそのようなことを認めるわけがないわけですよ。
ただでさえその性質からオーク達は他種族から忌み嫌われ、見下されているのです。
まぁ当たり前の話ですよね。
オークキングにより、オーク達へこのような命令が発せられます。
それは『他種族との合意なき性行為を禁じる』というもの。
しかし、それではオークの国は緩やかな滅びを迎えるだけです。
そこで他種族の犯罪者(女性)を罰としてオークの国に送り込み、繁殖場と呼ばれる場所でのみ性行為を行えることになっているのです。
ここで「?」が浮かびますよね?
そう、バッシュは繁殖場で童貞を失えばいいのではないでしょうか?
ところがこれは彼の矜持が許しません。
なぜなら彼はオークの英雄だからです。
オークの英雄がみっともない性行為を見せるわけにはいかないのです。
童貞であったことがバレてはいけないのです。
なんともかわいい英雄じゃあないですか笑
だからこそ、バッシュは他国に嫁を求めて嫁探しの旅に出るというわけなんです。
ちなみに30歳まで童貞だったオークは額に紋章が現れ、オークメイジとなります笑
バッシュは『オーク英雄物語』スタート時で28歳。
あと2年で童貞であることがバレてしまうんですよ!!
我々読者からするとどうでもいいことに思えますが、オークにとってこれは一大事なんですね。
ここがおもしろい!オーク英雄物語の見どころ
ここまでに挙げた設定のおもしろさはもちろん、この他にも見どころはたくさんあります。
中でもサブタイトルにもある他者からの『忖度』がこの作品をよりおもしろいものにしています。
というのも主人公バッシュは基本的に寡黙です。
そしてオークという種族の特徴として、あまり頭がよくありません。
そこに狂言回し的な存在としてフェアリーのゼルがいます。
いたずら好きでお調子者というステレオタイプなフェアリーであるゼルが、本人としては一生懸命ながらも非常にいい加減な情報をバッシュに与えます。
そのいい加減な情報に沿って各国で嫁探しをするわけですが、バッシュがオークの英雄であるということ、寡黙であることと相まって、何やら意味ありげな行動に他者からは思えてくるのです。
さらにその行動が訪れた国や都市、出会った人物の問題を解決してしまうのですが、それによってより深読みされてしまうというサイクルで話は進んでいきます。
本人達はただ単に嫁探しの旅をしているだけなのに、周りがどんどん忖度していくんです。
言ってしまえば『勘違い系』の話なんですが、それだけの話と感じさせないところに他の作家とは一線を画す、理不尽な孫の手氏の作品作りの上手さがありますね。
『無職転生』でもそうでしたが、理不尽な孫の手氏は本当に地の文がおもしろいです。
最後に
何やら色々と書いてきましたが、『オーク英雄物語』は単純におもしろいです。
有名な作家さんだからと『忖度』(←言いたいだけ)しているわけではなく、エンターテイメントとして素晴らしい作品だと思います。
「オークの英雄て」
「忖度列伝てなんやねん」
などと少しでも興味を持たれたのならぜひぜひ読んでみてください!
費やした時間を絶対に後悔させませんよ!!
ではでは